001.


1時間後、部屋に戻ってきた。
「ふう〜・・・」
今回の依頼は人探しだった。1ヶ月前に家を出てから行方が分からないという。
世界規模とは言っても所詮探偵は探偵である。
だから仕事も基本は浮気調査や人探しがメインだ。たまに殺人などの血なまぐさいものが持ち込まれることもあるが、
探偵は以外に地味で、努力と忍耐を要する仕事である。
こんな不謹慎な発言をしてはいけないだろうが、私は殺人などのビッグな事件を期待していた。
だから少しがっかりしている。
おっと、今言ったことは忘れてくれ。けっしてDETECTIVE CODE-100のボスに言ったりはしないでくれよ?
・・・仕方ない。これも大事な仕事なのだ。さて、そろそろ行くとするか。なに?ついてきたい? ・・・いいだろう、ついてきたまえ。
つまらない事件ではあるが、せいぜい私の努力を見ていてくれたまえ。


まずは、その失踪者について調べなければならない。こうなると、世界規模の探偵社というのは便利だ。
どこかの会社や、学校などの団体に所属していればたいていの人の名前と居住地が分かる。
さらにそこから検索していけば、さらに詳しい情報が手に入る。
30分後にはもう、データが出ていた。
グレン・ガードナー
食品開発会社の工場長。
なるほど、かなりうまくやっていたようだ。とても家出をする理由があったとは思えない。自殺などの可能性はまずないだろう。となれば何かの事件に巻き込まれたか。とりあえず自宅付近と、会社付近でここ1ヶ月ほどの間に事件がなかったか調べなければ。
パソコンに搭載されているビデオ通信機能の電源を入れた。
「ポン」
 部下 (DETECTIVE CODE-171)「はい、なんでしょう」
 170(私)「ニューヨークに1ヶ月前まで妻子とともに住んでいたグレン・ガードナーについて調べてほしい。ガードナーの素性と勤めていた会社、それから自宅付近で聞き込みをしてガードナーの現在の居場所を探し出してほしい」
 171「分かりました。とすると今回の依頼は人探しなわけですね」
 170「そうだ、頼む」
 171「分かりました、やってみます」
「プツッ」 回線が切れる。
私もディテクティヴ・コーポレーションの資料室で食品開発会社について調べてみることにしよう。


自由への十字路へ目次へ002へ

Copyright © Crossroads to Freedom 〜自由への十字路〜. All Rights Reserved.